無過失補償について

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無過失補償について

女性は妊娠に気付いたその日から、少しずつお母さんになる準備を始めます。悪阻をはじめとする妊娠中の体調の変化は、時にお母さんを苦しめます。それでもいつか元気な姿で我が子を胸に抱く日を目指して、出産の日を待ち望みます。

でももし妊娠中は特に何のトラブルもなく順調にお産を迎えたのに、分娩中の医療事故が原因でわが子に障害を負わせてしまったとしたら…。この世に生まれてくる限り、人は何らかの病気や障害、老いを避けて通ることはできません。でも、その障害が医療事故によって引き起こされたものだとすれば、その親子は救済されるべきです。

無過失補償制度とは、上記のように分娩中の医療事故によって子供が脳性まひを負った場合、金銭面での補償(認定を受けた場合、1人につき3000万円)を受けられる制度です。長期にわたって障害がある子供を育てることになると、身体的・精神的での負担だけではなく、金銭面での問題にも繋がってくるものです。無過失補償制度はこのような経済面での負担を少しでも軽くする以外にも、長期化が予想される訴訟を避けることで、医療者側・被害者側の負担を減らすことも目的の一つとされています。

この制度巡っては、実際のところ反対意見や慎重論も多数存在していることは確かです。被害者側の意見としては、「トラブルがあっても公的資金を用いて補償さえすればそれでよしとする医療者が出てくる可能性がある」「事故の再発を防止するための検討会が適切に行われなくなるのではないか」ということが挙げられています。

また、脳性まひが明らかに分娩事故によって起こったものなのかどうかを判別しにくい事例が臨床現場では多数存在することも事実です。妊娠週数や胎児の体重がごく僅かだけ規定に当てはまらない場合はどのように対処されるのか、など、この制度の適応をめぐる状況は現在進行形で議論されています。